安全運転で子どもを守る|タクシー歴30年の亡き父の3つの教え

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20歳くらいのころ、よく父と一緒にタイヤを交換していた。

僕は、「まだ10月なのに、こんなに早く替えたらタイヤがすり減ってもったいない」と言った。
そしたら父は、「1ヶ月くらいどうったことねぇよ。雪降ったら危ねぇから」と返してきた。

そのころは、もったいないと思いながら、ただ父に言われるがままに替えていた。

でもその言葉のほんとうの意味がわかり、自らそうしようと決めたのは、
父が亡くなった後、子どもを乗せて運転するようになってからだった。

子どもを後ろの席に乗せて運転していて、ヒヤッとしたことはないでしょうか。家族を乗せるようになってから、事故が急に怖くなったという人も多いと思います。

でも、具体的に何に気をつけて運転すればいいのか、教習所を出てからは誰も教えてくれないですよね。

事故りにくい運転に、特別なテクニックはいりません。タクシー運転手として30年無事故無違反だった父が、生前くり返し言っていたのは、たった3つの教えでした。

30年以上無事故無違反を実現した亡き父の教えを紹介します。

目次

30年無事故無違反だったタクシー運転手の父

父は生前、タクシー運転手として30年働き、その間ずっと無事故無違反でした。いつからかはわかりませんが、僕が知っている限り、免許証はずっとゴールドでした。深夜に酔ったお客さんを乗せ、毎日何時間も走る仕事で30年事故を起こさないのは、簡単なことではないと思います。

僕も免許を取って20年近くになりますが、違反は20歳のときのスピード違反1回だけです。それからはずっとゴールド免許で、事故を起こしたこともありません。自分で運転がうまいと思ったことはありません。でもそれ以来ずっと無事故無違反を継続できているのは、父に言われたことを守り続けてきたことが大きいと思います。

父から教わった、事故らない3つの教え

事故は、運転が下手な人だけが起こすものではありません。一時停止で止まる、交差点で曲がる、車線を変える。こうした危ない場面に出会う回数が多いほど、事故の可能性は高くなります。

どんなに慎重な人でも、ヒヤッとする場面の数が増えれば、いつか判断を間違えます。逆に言えば、危ない場面そのものを減らしてしまえば、事故も違反も自然と減っていきます。

父の3つの教えは、どれもこの「危ない場面を減らす」ためのものでした。

① 早めのタイヤ交換を

この教えは、北海道や東北のように雪が降る地域の話です。雪の少ない地域に住んでいると、冬タイヤに替える機会はあまりないかもしれません。それでも、帰省やスキーで雪の降る地域へ車で出かける予定があるなら、同じように早めの準備が大切です。

父がよく言っていたのは、雪が降るところではタイヤ交換は早め早めにやれ、ということでした。北海道は10月に初雪が降るので、冬タイヤへの交換は雪が降る前に済ませておきます。夏タイヤのまま初雪の朝を迎えると、滑りやすい道を走る危ない時間が一気に増えてしまいます。

春の交換について、父は「ゴールデンウィーク明けに替えろ」と言っていました。最近はゴールデンウィークあたりを目安にしています。昔は4月の終わりに、みぞれのような雪が1日だけ降ることがよくあったので、この時期まで待つのは理にかなっていると思います。峠を通るなら、もっと遅くてもいいくらいです。

子どもを乗せているなら、なおさら。

「来週でいいか」と先延ばしにした結果、いきなり雪が降っちゃったり……

冬タイヤへの交換は、ディーラーやカー用品店にお願いすれば安心です。ただ、工賃がかかるうえ、10月を過ぎるとどこも混み合って、なかなか順番が回ってきません。

自分で交換するなら、車に積んである純正の工具より、市販のジャッキとレンチがあると便利です。こういった工具があれば、力もいらず、ずっと楽に早く交換できます。

② 近道より広い道を通る

父はよく「広い道を通れ」と言っていました。近道をしても、着く時間は同じだと。細い道を通ると「止まれ」の標識が多くなり、止まるたびに事故の可能性が増えていきます。

広い道でも、信号で止まることはあります。それでも広い道は法定速度が50キロや60キロと高めに設定されていて流れがよく、結果的に時間はそれほど変わりません。細い近道には、大型車とのすれ違いや、うねった道、整備が行き届いていない道路といったリスクもあります。

よほど通い慣れていて、広い道と比べても遜色ない道でない限り、国道のような広い道を通った方が事故も違反も少なくなります。近道を知っていても、あえて使わない。それが父の2つ目の教えです。

家族で出かけるとき、数分を縮めるために細い道へ入る必要があるでしょうか。後ろの席の子どもにとっては、到着が数分早いことより、無事に着くことの方がずっと大事です。

③ 車線を変えず、流れに沿って走る

3つ目は、左の車線を走り、流れに沿って走れという教えです。父は「流れに沿って走っていれば事故らない」とよく言っていました。

人の車に乗せてもらったとき、右へ左へと何度も車線を変える運転だと、酔ってしまって落ち着いて乗っていられません。タクシーに乗ったときも、急いでレーンを変えながら走る運転手さんだと、少し不安になります。父の運転を覚えているからこそ、その違いがよくわかるのだと思います。

車線を変えるたびに、ウインカーを出し、後ろを確認し、周りの車の動きを読まなければいけません。その回数が多いほど何かが起こる機会は増え、何か起きたときのとっさの対応にも時間がかかります。前の車が法定速度よりかなり遅いときでなければ、追い越し車線は使わず、前の車にしっかりついていく。それだけで、運転はずいぶん穏やかになります。

車酔いしやすい子どもにとっても、車線を変えない運転はやさしい運転です。後ろの席で子どもがぐっすり眠れる運転は、それだけで安全な運転だと言えます。

子どもは後部座席で、親の運転を覚えている

父だけでなく母も、運転がとても上手でした。子どもの頃からそういう両親の車に乗っていたことで、免許を取る前から運転の感覚が自然と身についていたのだと思います。

悲惨なことですが交通事故で亡くなる人は、今も毎年たくさんいます。

それほど身近な危険のなかで、事故を一度も起こさず、大きなけがもなく、こうして無事に生きてこられたのは、まぎれもなく両親のおかげです。父の教えと、子どもの頃から染みついた運転の感覚。そのどちらも、両親からもらったものです。

父の教えがここまで役に立ったのは、それが父自身が毎日の運転で実践していたことだったからだと思います。言葉で教わるだけでなく、運転する姿でそのまま見せてもらっていました。自分でもできていることだからこそ、今度は子どもにも、自信を持って説明できます。

子どもは後部座席から、親のブレーキのかけ方も、車線の変え方も、ぜんぶ見ています。助手席や後ろの席で見てきた運転が、その子にとっての「当たり前の運転」になります。

親の運転が穏やかなら、子どもも荒い運転をしなくなります。反対に、急いで車線を変え、近道ばかりする運転を見て育てば、その子もいつか同じ運転をするでしょう。今日の運転は、目の前の家族を守るだけでなく、10年後、20年後に子どもがハンドルを握ったときの運転にもつながっています。

今日から守る3つの教え

30年無事故無違反を継続するコツ
  • 早めのタイヤ交換
  • 広い道を通る
  • 流れに沿って走る

教えられたことをきちんと守り、親がやっていないような裏技に走らない。それを続ければ、父のように何十年もゴールド免許を維持することは、特別な人でなくてもできます。

生前の父から受け取ったこの教えは、今度は僕が、自分の運転で子どもたちに見せていきます。

家族を乗せて走るとき、後ろの席の子どもは親の運転をしっかり見ています。父が30年かけて証明した3つの教えが、家族を守る運転のヒントになればうれしいです。

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